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水曜日, 4月 24, 2024
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ファッションサービスの「#CBK」(カブキ)— ニューロープ —

女性なら、ファッション雑誌やお気に入りモデルのSNSを見ながら「こんな服、私もほしいな」「同じようなコーディネートしたいな」と思うことがあるだろう。ニューロープが提供する「#CBK(カブキ)」はそんな希望をすぐに叶えてくれる、新しいファッションメディアだ。 今回は、株式会社ニューロープ 代表取締役CEO 酒井 聡氏にお話しを伺った。   ―ニューロープのサービスについて教えてください。 主にファッションサービスの「#CBK(カブキ)」を運営しています。提携している約300名のモデルさんからファッションスナップを提供してもらっていて、ユーザーはおしゃれなスナップや、コーデの解説を読むことができます。気に入ったコーデがあれば、弊社が提携している通販サイトで類似アイテムを購入できます。 現在3つのマーケットモールと提携していて、アイテム総数は25万点以上。売上の一部はモデルさんにも還元しています。 マガジンサイトも運営しています。記事に掲載されているコーデが気に入ったら、同様にそのまま似ているアイテムを購入できます。「リネンシャツはこのアイテムと相性が良いんです!」というような文脈がついていると読者の購入意欲は一層高まるようで、非常に高いCTR(通販サイトへの遷移率)を実現できています。 この成功例を横展開すべく、弊社が所有する「アイテム情報が紐づいているスナップ」を#CBK(カブキ)以外のファッションメディアに提供する取り組みを進めています。#CBK(カブキ)のスナップを記事中に掲載すると、自動でアイテム情報が表示されるため、記事をマネタイズできます。スナップの引用元を探しているメディアさんも多く、順調に各社との提携が進んでいます。   -起業のきっかけを教えてください。 もともと集団行動が苦手だったので、会社勤めは向いていないだろうと思っていました。当時はずっと作家になりたいと考えていて、純文学を読んだり、原稿用紙200-400枚くらいの作品をいくつか書いたりしていました。作家になるには「経験」も大事な要素だと思っていたので、学生の頃はアルバイトを半年ごとに変えて色々な仕事に挑戦したり、サークルも10個くらい掛け持ちしていました。ロサンゼルスに1か月間の短期留学に行ったときも、トランクに本をパンパンに詰めていって100冊読破するという、二兎を追う毎日でした。 そんな中、たまたま手にした『渋谷ではたらく社長の告白』を皮切りに、いわゆる「起業本」にはまってしまい、その影響で初めて「起業」を意識しました。それからは経営周りの勉強をするために中小企業診断士の資格を取ったり、今起業するならITは不可欠だろうと転職したり、行動のベクトルが起業に向き始めました。 直接的な契機はサイバーエージェント社主催のイベントに参加したことです。サイバーエージェントの執行役員の方にメンターになっていただき、アドバイスを受けながらプランを練っていくというもので、最終日にファッション事業のプレゼンをしたところ、出資を検討していただけることになりました。 ファッションを題材にしたのは2013年当時ファッションカテゴリーで強力なプレイヤーがまだいなかったので、ビジネスチャンスを感じたためです。   -酒井さんのバックグラウンドを教えてください。 出身は九州です。中学から私立に進学し、バス通学中にすることがなくて本を読み始め、太宰治や三島由紀夫に出会って衝撃を受けました。自分もこんなすごい作品を生みたいと思って文章を書き始め、ネットのアマチュアの文章投稿サイトに掲載。大人たちから寄せられるガチのダメだしに心を痛めながらも研鑽していました。 大学を卒業する頃は「作家」と「起業」が半々くらいの気持ちでいました。いずれにしても自分の一番苦手分野が営業だと思っていたので、新しい経験が積めること、起業にも役立つことから、マイナビに就職。3年間働きました。 その後、伸びている業界に身をおくべきだと考え、ウェブアプリやスマホアプリの受託開発を手がけているランチェスターに転職。2年ほど経験を積んだところで、起業に至りました。   -ターゲットは? また競合との差別化について教えてください。 主なターゲットは、インターネットで服を購入する層。20代後半から40代前半の「大人の女性」です。いろいろな通販サイトの運用担当の方にお話をうかがっていると大抵「ボリュームゾーンは30代」という回答をいただきます。小さなお子さんがいらっしゃると店舗で買いものをして試着するということが難しくなるため、ネットを使ってみるという方が多いのだろうという仮説を立てています。 若い方にも「一度通販サイトで買ってみると意外と便利なことに気づいて、リピートする」という方が多く、「きっかけ」が大事なのかな、と思っています。 競合の話で言うと、弊社はメディア・サービスとしてというよりは、インフラ・後方支援としていろいろなサービスを後押ししていくような立ち位置を取っていて、現在は実質的に大手1社くらいしかいない状態です。その大手とも提携をしているので、同業他社はすべからく味方であると考えています。   -今後の展開、また海外への展開について教えてください。 まずは、提携メディアをどんどん増やしていって、面として露出を増やしていきます。同時並行で、2017年5月に実用化したばかりのファッションスナップを自動で情報化する人工知能を広げていきます。現在大手企業と複数のプロジェクトを進行しています。 特に日本というドメインに縛られない業態なので、海外への展開も考えています。まずはアジア圏から、日本のファッションを各国に発信するというだけではなく、各地のニーズに合うように現地のインフルエンサーを発掘して、水平展開していきたいと思っています。   -過去の投資、また今後の投資について教えてください。 先ほど触れた通り、サイバーエージェント社から出資を受けています。 次のラウンドについては、ちょうど今動き出しているところです。事業をきちんと理解してくれる企業・投資家さん、起業家へのリスペクトをお持ちの方とご一緒できたらハッピーですね。   -一日のスケジュールを教えてください。 基本的に月水金はオフィスで、火・木は自宅やカフェで仕事をすることが多いです。 コアタイムは11:00~19:00くらいですが、その前も後も、結局いつも仕事をしてしまっています。 週に2回ほど、昼に40分間ほどのワークアウトを挟みます。   -良く使用するアプリを教えてください。 なかなか本を読む時間が取れないので、最近はAudible(オーディブル)を利用しています。本を音声で聞けるというもので、家事や単純業務をしているときにインプットできるので便利です。同じ理由でテレビ東京の『ビジネスオンデマンド』も愛用しています。『ワールドビジネスサテライト』や『未来世紀ジパング』は情報として良質で、Audibleよりもこちらを聴いている時間の方が長いと思います。 ビジネスツールでは名刺管理のCamCard(カムカード)、チャットアプリではSlack(スラック)を使っています。 ニュースアプリはおなじみのNewsPicks。コメントを付けることを前提でニュースを読むと、インプットの質が変わってきます。   -お気に入りのハングアウト場所を教えてください。 本日のこのcafé STUDIO(原宿)は打ち合わせ場所として良く利用しています。 作業場所としてはガストやジョナサンなどのファミレスを使い倒しています。糖質制限ランチも充実しているし、電源もドリンクバーもあり、テーブルも広いという理想的な環境です。都内だと大抵の街にあるので、打ち合わせと打ち合わせの間など、東京中の「すかいらーくグループ」のお世話になっています。   -影響を受けた人物を教えてください。 本を通して影響を受けたという点では藤田 晋さん(サイバーエージェント)、見城徹さん(幻冬舎)などたくさんいます。身近なところでいうと、前職の社長であるランチェスターの田代健太郎さんは器が大きい方で、人として尊敬しています。元甲子園球児でバスプロを目指していたという経歴もとても面白く、現在でも交流があります。 あとはイラストレーターとアンティークショップという二足のわらじで自分らしい生き方を追求している母の影響は大きいと思います。母もあまりコミュニケーションが得意なタイプではないのですが、フランスまで仕入れに行って日本で売るということをもう20年以上続けていて、「やってやれないことはない」という意識はそういう姿を見ていて生まれた気がします。   作家を目指し、起業に向けての様々な経験も積んできたというだけあって、文学のみならずアート、IT、経営等、多岐な分野の知識が豊富で、それを伝えるのがとても的確な印象の酒井氏。現在はファッション事業がメインだが、今後、力を入れている人工知能の分野や、サービスの提供、デザイン、執筆等でも活躍し、彼の名前を見ることが多くなるであろう。 サンタモニカのおしゃれスナップなども是非手がけていただきたい。