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金曜日, 3月 29, 2024
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節水率9割!洗浄力も併せ持つノズル - DG TAKANO -

水不足が世界的に問題になってきているが、現在の日本において、実生活でその深刻さを感じることはほとんどないだろう。 お風呂や洗濯などの生活用水を多少節約したところで、あまり変わらないと思ってしまうのが現状だ。 しかし、世界での水需要は50年前に比べ、およそ3倍になっており、この問題は世界規模で深刻になってきている。 そんな未来を見据えて開発されたという超節水洗浄ノズル「Bubble90」。ここまで数々の賞を取っており、各メディアでも取り上げられているので、目にした方も多いかもしれない。 今回は、株式会社DG TAKANO 代表取締役 高野 雅彰氏にお話を伺った。   ―DG TAKANOのサービスについて教えてください。 僕たちは、ものづくりが活発な東大阪市の町工場発ベンチャーという、非常にめずらしい会社です。 50年以上金属加工をしてきた工場の技術を利用し、現在の社会課題を解決する、ところからスタートしました。 実は最初は「ものづくり」ではなく、ITベンチャーとして起業しました。私自身、ITでも、ものづくりでも「新しいものを生み出す」という点では共通していると考えていましたし、会社組織としてというよりも、組織内外の人たちがいろいろな意見やアイディアを出し合う集団を作り上げていきたい、という希望がありましたので「Designers Guild(デザイナーズギルド)」という組織を起ち上げました。 起業当時、一人だけでできる限界がこの節水ノズル「Bubble90」でした。このノズルは最大節水率95%、平均でも8割~9割は節水できるので、実際の流し洗い水の使用量は10%で済むわけです。これを世界中の蛇口につけると、人が使う流し洗い水の使用量は10%に抑えることができるわけです。 開発時からそういうイメージで作成しておりましたので、プロトタイプができてすぐに日本ではなく、ドイツのベルリンの展示会に出展しました。そしたらヨーロッパではすごい評価だったんです。やはり環境先進国ですし、環境に対する意識がとても高いため、すぐに売ってほしいという話もありました。 その後帰国し、日本の「超モノづくり部品大賞」に応募したところ、世界の水不足、水資源の問題に貢献できる可能性があるということで、そこで日本一を頂きました。 しかし、2009年当時、水が豊富にある日本では節水よりも節電が注目されていることもあり、残念ながら民間市場での需要があまりありませんでした。 世界ではニーズがあるのに、日本では全然ニーズがない。だからといって、自分一人の会社で世界販売する企業体力もまだありませんでしたので、厳しい日本の市場の中で、会社として組織化し、それを強くしていくことに大変苦労し、4年程赤字が続きました。 そこでレストランのキッチンで使用してもらおう、ということで外食産業をターゲットに売り込んだところ、これが転換期になりました。キッチンでは水の使用量の他、お湯の使用量も多い。お湯の使用量が下がればガス代も下がる。水道代に加え、ガス代の節約にもなるわけです。 現在の日本の外食産業はとても厳しく、人件費も限界まで下げ、食材の仕入れ値も落としても、だいたい5年で8割~9割の飲食店が倒産し、入れ替わっている状況の中で、この節水でのコスト削減方法はとても受けました。食洗機が導入されているところでも、予洗いの段階で9割の水道代が削減できる、ということでどんなキッチンでも高い効果を発揮し、2014年、一気に広まりました。 そういう経緯で、最初に作った製品がいきなり日本一をとって、一気に脚光を浴び、いろいろな賞も頂いたので、DG TAKANOは「節水ベンチャー」のように思われていますが、実際は「新しいモノを世の中にどんどん生み出す」製品第一号が成功した。という感覚ですので、今後は節水だけに関わらず、違ったジャンルの「新しいもの」を第二弾、第三弾と進めている最中です。   -起業のきっかけを教えてください。 やはり「世の中にない新しいものを生み出す」ということが一番です。できることなら社会にいい影響や大きなインパクトを与えられるもの、「あってもなくてもいい商品」ではなく、人々の生活が豊かになったり、行動が変わるようなものを、今後もここからどんどん生み出して行きたい。と思っています。   -高野さんのバックグラウンドを教えてください。 以前はIT業界で営業を3年間していました。学生の時から、働いても働かなくても給料が変わらないとか、役職のポストに左右されてやりたいこともやれないような日系の企業には全く魅力を感じていませんでした。自分で会社を作れば、会社のルールはもちろん、どんなことをするか、どんな人と仕事をするかを全て自分で決められるわけです。そんな理由で10代の頃から、ずっと社長になりたいと思っていました。これは当時珍しかったようで、周りの友達はみんな大企業に就職をしました。僕一人、起業を念頭に社会経験としてITベンチャーに入り、その後、ITベンチャーを起ち上げた、という経緯があります。   -ターゲットは?また競合との差別化について教えてください。 基本的には飲食店、外食産業がメインです。 競合については、他にも節水業者はあると思いますが、ダントツの性能をだしていますので、節水の性能では競合はありません。あとは他社では通常、毎月課金モデルで数年契約ですが、うちは売り金モデルですのでイニシャルコストは違いますが、年間削減額でみると差は大きくでます。   -今後の展開、また海外への展開について教えてください。 「Bubble90」に関しては、水圧、水の質、地域等に関わらずどこでも使えるものにするべく、現在も開発を続けていますし、家庭用への問い合わせ・要望もとても多いので、そちらも考えています。 他にはIT系のシステムを開発中なのと、「Bubble 90」は環境を考えた節水ノズルでしたが、次は健康に関するものを開発中です。 海外からの問い合わせはたくさんありますが、現在シリコンバレーに拠点を置き、海外展開をスタートしたところです。   -過去の投資、また今後の投資について教えてください。 今のところ、投資を受ける予定はありません。自己資金からスタートして、一番つらい時期は乗り越えたと思っていますので、今後もこのまま進む予定です。ただこれからどんどん新しいものを生み出して行きますので、子会社化してそれを売却、というようなことはあると思います。   -一日のスケジュールを教えてください。 5:00頃 起床 5:30~6:30 仕事(アイデア出し) 7:00~8:30 ジム 9:00 出社(打ち合わせ・新規事業開発) 18:00~19:00 帰宅 うちの会社は基本的に長時間労働をしないので、遅くても20:00までには社員みんな帰るようにしています。 その後はジムにいったり、会食が入ったりしますが、遅くても1:00前には寝ます。   -良く使用するアプリを教えてください。 OmniFocus(オムニフォーカス)というアプリをおすすめします。個人のタスク管理アプリの中では、一番高くて一番性能がいいものだと思います。 忘れることもなくなりますし、計画的にいろいろできるようになります。 秘書がいなかった当時は、これが随分役に立ちました。 現在も秘書と共有して活用しています。 社内ツールとしてはMoxtra(モクストラ)を使用しています。これを導入してから、社内の効率が劇的にあがりました。   -お気に入りのハングアウト場所を教えてください。 いろいろ考えたんですけど・・・あまりないんですよね。 一人で焼肉行ったりもしますが・・・敢えていうとマッサージ屋さんかな(笑)   -影響を受けた人物を教えてください。 有名人でいうと、やはりSteve Jobsなんかは「すごいな」と思いますが、同じように仕事をしている身近な人の中にも影響を受けている人はいますね。   毎年1000社以上が倒産・廃業に追い込まれたバブル崩壊時代、自身も東大阪の町工場で育ったという高野氏。幼少からものづくりを肌で感じ、また苦しい時代を目の当たりにしたからこそ生まれたであろう、アイディア、パワー、スピードそして妥協を許さない姿勢を感じた。 世界中の水不足を解決すべく開発された「Bubble90」を筆頭に、今後もどんどんDG TAKANOならではの製品を世に送り出し、日本の「ものづくり」で世界をあっと言わせてほしい。